夕日の滝近くの古民家で、11/5(土)まで「ひょうたんの器展」開催中

南足柄の矢倉沢にある古民家「うるし亭」で、何とも珍しい
「ひょうたんの器展」が11月5日(土)まで開催しているとのことで伺いました。

夕日の滝手前にある築200年超の「うるし亭」

「漆(うるし)は縄文時代から、人々の暮らしに寄り添い、様々使われてきました。
漆器には抗菌効果もあり、こんな時代だからこそ、ぜひ身近な存在として使っていただきたい」と話すのは、漆芸家の大畑道香(おおはたどうこう)さん。

10代で漆器に魅了され、京都をはじめ、会津若松や金沢など、
さまざまな技法を学びたいと修業先を変えながら経験を重ね、
日光や鎌倉などで美術工芸品などの保存修理にも携わったことがある実力の持ち主です。

今回の展覧会では、
道香さんの経験を活かしたアイデアあふれる作品がそろっています。

お椀をはじめ徳利や、バッグも!

今回の展覧会では、約2年間作りためていた“ひょうたん”をつかった漆器など、40点ほどが
やさしい陽射しが差し込む居心地の良い店内に並んでいます。

表面はひょうたんの形状や質感を生かした優しい肌触りで、
よく見ると漆の黒さの中にべっ甲のような濃淡が。

内側は何ともなめらかで、落ち着いた黒さが素朴な風合い。

手に取らせていただくと、見た目の重厚感とは裏腹に思った以上に軽くてびっくり!
使い心地も良さそうです。

道香さん考案「漆塗ひょうたん」。漆をつかった様々な技法を用いた器は、完成させるのに最低でも2カ月はかかるそう

お気に入りに出逢えれば、購入することもできます。
普段づかいできるよう、お値段も手に届く範囲の価格設定。

ちなみに、見ているだけで楽しくなる
“ひょうたんバッグ”はすでに購入者が決まっているとのこと。

ひょうたんバッグには、右の器を重ねて収納できる優れもの!「野点などにも活躍できますよ」とのこと

新たな可能性を広げた「乾漆」の技法

ひょうたんの素朴さと、漆の“優しくて強い”特徴を最大限に生かせたのは、
今から20年ほど前に「乾漆」の技法に出逢えたことが大きいと、道香さん。

この技法は、奈良時代の仏像制作に多く使われ、
布と和紙の型に漆を塗り重ねていくものだそうです。
さまざま作品作りをするなかで、いつしか、仏像を制作してみたいと
なんと3年もの歳月をかけて完成!

その作品は、店内の床の間に飾られています。

僧侶の資格を持つ道香さん。3年かけて作り上げた仏像の表情は、道香さんのように穏やかです
ひょいと仏像を持ち上げて、裏側も見せてくれました。「奈良時代の仏像作りに多く採用されたこの技法は、軽くて丈夫だから持ち運びやすく、現在でもその姿を見ることができます。大火を免れるための知恵だったのかもしれません」

 

「漆の魅力は、様々な材質や暮らしに馴染む『やさしさ』と、何度も重ね塗りをすることで得られる『強さ』を兼ね備えるところ。
漆に魅せられて半世紀、まだまだ分からないことも多く、奥が深い」と道香さん。

さらに「最近はコロナの影響で行っていませんでしたが、
この空間を使って音楽会も開催したこともあり、いつか楽器も作ってみたい」と笑顔で。

終始、丁寧な説明と共に柔らかな物腰の道香さん。
気難しい職人気質の方なのではという、私の先入観をキレイに塗り替えてくれました。

ちなみに、会場となる築200年超の古民家は、
普段は、奥さまが営む手打ちそば(予約制)や甘味を味わえ、
近くを流れる川のせせらぎの音が心を癒してくれます。

ひょうたんの器展

日時 10月22日(土)~11月5日(土)、11:00~16:00
※11月2日(水)はお休み
場所 古民家 うるし亭(南足柄市矢倉沢地蔵堂2408)
☎0465-73-2803

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