喫茶やぐち

開成町の工場誘致の第一号『東海編物』ができた翌年の1959年に、この場所に移り住んだ店主ご家族。「当時は開成駅はまだなく、周囲は田んぼが広がっていました。この工場で働く方のためにと、母が『矢口商店』を開業。2011年に看板を下ろしてから、空き家のままになっていましたが、母の想いを引き継ぎ2022年12月に喫茶店をオープンしました。飲食業は未経験だったので、定年後カフェの勉強もしました」と笑顔で。

現在、矢口商店でも販売していたたばこのほか、喫茶メニューはコーヒーや紅茶、冬季限定の甘酒など。「甘酒は母が作ってくれていたように米麹から手作りで。今後は、ケーキなどのスイーツや軽食などもメニューに加えたいと思っています。お客さまからアイデアをいただくこともあり、少しずつご要望に応えていけたら」と意欲的です。

カチカチとリズミカルに時を刻む振り子時計がある座敷席は、冬場はホットカーペットが敷かれ、ゆったりくつろげる空間に。店内は禁煙ですが、喫煙スペースもあります。「ここに移り住んでから、随分景色が変わりました。道路が舗装されるたびに、店頭の入口が低くなり、時代の変遷を感じます。地元の方に根付いた『矢口商店』のように、幅広い世代に気軽に立ち寄っていただけるような空間にしたいです」と、物腰柔らかに想いを教えてくれました。